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昨日、3回目の「おくりびと」を見た。

 1回目に見たときの「これはよし」の評価は全く変わっていない。

 感動したのか? と聞かれると、ほんの少しの涙は今回も流れたけど、「感動」なんて言葉は今回も使いたくない。言いたいことは、今回も同じ。私が映画に期待したいすべてがここにはある、ということ。名演というのとも違う、大作でもない、矛盾や唐突さにも満ちている。なのに、「いい映画」としかいいようのないもの。たとえば「ギルバート・グレイプ」なんかにも感じた同質のものを感じる。

 批判的な人たちの代表的なものは「納棺師ってそんなに差別される職業?」というのと、「石のエビソードが不自然」ということではないかと思う。
 前者の発言に対しては、こう言いたい。「ほかの職業にしといたら?」と言われる人は、世の中には実はたくさんいらっしゃる。あえて例は挙げないけど。納棺師もきっとその一つだ。確かに映画は少し誇張はしているけれど、たとえばもし自分の息子がこの仕事をしてたとして「ほかにもたくさん仕事はあるでしょうに」ということは、私ももしかしたら言うかもしれないし、他人からも言われるだろうな、と。そういう、人が差別と気づきにくい差別にスポットをあてたことがこの映画の長所の一つに違いない、と思う。
 そして、後者については、私も「不自然じゃん」と思った一人だったのだが、 滝田監督の「不自然には違いないけど、これは映画的なリアリティなんです」と言っていた一言に、その疑問は氷解した。そのギリギリの映像を見たくて私たちは映画を見ている、とも言えるのではないだろうか。日常の中で当たり前に見られるものを再現してもらってそれがカタルシスになる映画も確かに存在はしてるけど、それは多くの場合、たいして面白くはない。私たちは、映画でなくては見られないものに、もっとも興奮する。それは、この時代に私たちが居合わせたことの、一つの幸福だ。
 
 もしかしたら、死の扱い方が軽すぎる、と思う人もいるだろうか? 決して軽く扱っているとは思わないが、その人の死生観と合わない場合、「軽く扱われてる」、と思う人はいるだろうなあとは思う。
 だが、誤解をおそれずに言えば、死(と生)の表現のされ方はこのくらい(の扱われ方)が、私には、ほどよい。この映画を好きか嫌いかは、そのあたりで、左右に分かれるのであろう。
by yuuko_watanabe3 | 2009-09-22 23:04 | 映画/シナリオ

わたなべゆうこです。blog名を「女は51から」より変更しました。


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