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きゃっはずかしい

 宿題を次々にアップすることに決めてしまったので、恥ずかしながらこれもアップします。

 今までとだいぶ趣の違うこれを書いたきっかけは色々とあるのですが、煎じ詰めれば、まあ無国籍風料理じゃなかった無国籍風シナリオを書いてみたかった、というだけなんですが、見事に失敗したと思います。添削では「課題の“ハンカチ”は、小道具の勉強ですから、具体的に存在しているほうがよかった」と書かれてしまったしね、ショボンです。
 まあしかし、この「課題の狙いと違います」と指摘されてしまう人はどうやら少なくないようで、先日の講座の後での親睦会では「狙いは最初に伝えてもらいたい」という意見の人もいました。でも、私はそれだとそれぞれの作品が小さくまとまってしまいかねないデメリットがあると思うんですよね。狙いはこうかな?と想像してそれにあてはめる、というのもちょっと面白くない感じ。
 私が出したものは実際は、これまでは「狙いに合っています」と講評されることも多かったし、そう書かれれば「やったね」と思いましたが、課題の狙いは?ということを優先してプロットを考えていたら、今回のような冒険はできなかったのだから、結果として出来はあまりよくなかったけど、今回のこれはまあ自分的には「よし」とします。
 えーと気分は「大いなる遺産」とか「ゴーストワールド」の雰囲気をねらってみました。実はかなりパクっております。まあ、宿題だしね。商品化したわけじゃないから、ゆるしてってとこです。



ハンカチ



  天使のハンカチ





人物

椿杏(16) 高校生
澤ルイ(16)杏のクラスメート
シスターアンリエット(年齢不詳)修道女
橘リン(17)杏のクラスメート
南コズエ(16)杏のクラスメート
来見冴子(58) 寮監
ナゾの老女(年齢不詳)

○華蘭学園・アンナ寮・全景
   街中から遠い、広大な敷地の私立学園。
   奥の一角に、ひときわ高い木々に囲ま
   れた場所にある木造建物。
   石でできた太い門に「アンナ寮」とだ
   け書いてある。

○華蘭学園・アンナ寮・杏とルイの部屋・中
   椿杏(16)が部屋で本を読んでいる。
   澤ルイ(16)が室内に入ってくる。
ルイ「杏はやっぱりシスターレティシアの特
 別授業、おサボリだったのね」
杏「だって、あのシスターのお講義って、中
 身ってものがないんですもの。未来に向け
 て心にたくさんの栄養をとり入れるべき私
 たちには、まったく無駄な時間だわ」
ルイ「でも、一列で移動してたのに、よく抜
 け出せたわね」
杏「簡単よ。列の最後にいて、音楽室の前を  
 通ったときに、さっと入ってしばらく身を
 ひそめていたの」
ルイ「ふーん。あなたが転校してきて以来、
 私はびっくりしてばかりよ。あなたみたい
 な大胆なことをする人って、見たことない
 んですもの」
杏「大胆、ねえ。そこまで賞賛されるなんて、
 私こそびっくりだわ」
ルイ「でも気を付けてね。学年委員長のリン
 があなたのこと、ただの目立ちたがり屋だ
 って陰口を言ってたわ。リンはライバルが
 現れたって思ってるのよ」

○華蘭学園・食堂・中
   シスターアンリエット(年齢不詳)が
   食前の祈りを捧げている。
   一緒に祈りを捧げている生徒たち。
   杏とルイも手を合わせているが、実は
   シスターアンリエットのノーブルな鼻
   筋、ウエストのくびれ、足元の細さに
   見とれている。
シスターアンリエット「さあ、いただきまし 
 ょうね。杏さん、どうかしましたか? 何
 か心配ごとでも?」
杏「あ、いいえ、大丈夫です」
   慌ててスープ用スプーンを手にする杏。
シスターアンリエット、微笑む。
ルイ「(小声で)シスターアンリエットって、
 完璧な美しさよね。美という言葉はあのシ
 スターのためにある言葉なんだと思うわ」
杏「お衣装や靴はほかのシスターたちと同じ
 なのに、何て美しい身のこなし! しかも
 シスターゆえに殿方との関わりをもってい
 らっしゃらないのはすごいロマンだわ」
ルイ「ねえ知ってた? シスターは修道院の
 中では地位が低くていらっしゃるのよ」
杏「もちろんすぐにわかったわ。私達と一緒 
 に食事していらっしゃるんだもの。それに
 ひきかえシスターレティシアなんて、あの
 赤ら顔よ。きっともっと赤身たっぷりの高
 いお肉を毎日食べているに違いないわ」 

○華蘭学園・食堂・中
   食事中の杏とルイ。
ルイ「私、シスターアンリエットの一番の秘
 密を知ってるのよ」
杏「何なの?それ」
ルイ「シスターは、守護の天使の羽でできた
 ハンカチを持っていらっしゃるのよ。どん
 んなにつらいことがあっても、そのハンカ
 チを持っていらっしゃるから、高潔な精神
 を保っていらっしゃるんだわ」
杏「あなた守護の天使なんて信じているの」
ルイ「私たち一人一人に必ず守護の天使はい
 るのよ。目に見えないからって信じない、
 というのはいけないわ、杏」
杏、やれやれといった表情をする。
ルイ「シスターアンリエットには妹様がいら
 っしゃってね、その方は修道女ではないの
 だけれど、シスターがお運びになる羽を、
 それは美しく織って、シスターに捧げてい
 らっしゃるのですって」
杏「そこまで言うなら、見せていただいたこ
 とあるんでしょうね?」
ルイ「私はないわ。でも今年卒業した先輩の
 中に、実際に見せてもらった方がいらっし
 ゃるのよ」
杏「私は自分が見なければ信じられないわ。
 そんなに神秘的な織物をできる妹様という
 方に直接お会いできたら、信じてもいいけ
 ど」
ルイ「私、妹様がいらっしゃる街のこと、聞
 いたことがあるわ。でも、一日では帰って
 これない場所よ」
杏「明日、日の出の頃に出て、翌日の夕食ま
 でに帰ってくる、というのも無理?」
ルイ「寮監の来見さんが絶対に気づいて、校
 長に告げ口をするし、そうなったら私たち
 おしまいだわ」
杏「ルイ、私たちの親が学園にどれだけ寄付
 をしていると思っているの? そんなにお
 じけづくことないわよ」

○華蘭学園前のバス停(早朝)
   バスを待っている杏とルイ。
   2人は華蘭学園の制服で、背中には食
   料と飲み物を入れたナップザック。
   いかにも不釣合いな風体である。
   道の反対側に乗用車が止まり、降りて
   きた橘リン(17)と南コズエ(16)。
   帰省帰りとおぼしき2人は荷物でパン
   パンのスーツケースをひきずっている。
リン「あなた方どこへ行くつもりなの?」
ルイ「どこだっていいでしょ」
リン「よくはないわよ。学年委員長として見
 過ごすわけにはいかないわ。ちゃんと許可
 をとったの?」
杏「あなた方のように、親に寄付金を上乗せ
 してもらって、特別休暇をいただくなんて、
 ばかばかしいことは私たちはしない」
コズエ「ばかばかしいですって?」
杏「私たちは人生にとって大切な自主的課外
 授業で出かけるの。告げ口したって平気よ。 
 どうぞご勝手に」
   バスが着いて乗り込む杏とルイ。

○走っているバスの中
   眠りこけている杏とルイ。

○さいわい町バス停
   ベンチに座っている杏とルイ。
   周囲は深い森。人家は見当たらない。
   昼間にもかかわらず、空は暗い。
杏「何もないし、誰も通りかからないわねえ。
 ほかに手がかりはないの?」
ルイ「ごめんなさい、杏。さいわい町という
 ことしか知らなかったのよ。来れば何とか
 なるんじゃないかと思っていたんだけど」
   杏、やれやれといった顔。ルイは今に
   も泣きそうな顔。
   スコールのような激しい雨が突然襲う。
   杏、ナップザックからカッパを取り出
   して、自分とルイの頭からかぶる。

○華蘭学園・アンナ寮・寮監室
   寮監の来見冴子(58)がリンとコズエ
   から話を聞いている。
来見「わかりました。2人が見つかり次第、 
 校長に厳しくご処分いただきます」
   校長室に内線電話をかける冴子。
   顔を見合わせて笑うリンとコズエ。

○さいわい町バス停
   空は晴れ上がっている。
   ラスクをかじっている杏とルイ。
ルイ「ねえ、これからどうする?」
杏「もちろん妹様とハンカチを探すわよ」
   ルイ、ほっとしたような笑顔を見せる。
   2人の前に白いウサギが現れる。
   見つめあうウサギと杏。
   走り出すウサギ。あとを追う杏とルイ。
杏「あの子、こっちへおいでという顔をして
 たわ。行ってみよう」
 
○広大な屋敷・中庭
   ウサギのあとをついていく杏とルイ。

○広大な屋敷・奥の間
   老女(年齢不詳)が絵を描いている。 
   (実はシスターアンリエットの母)
   ウサギ、杏とルイが入ってくる。
老女「まあ可愛らしいお客様たち。いらっし
 ゃい。ちょうどお茶にしようと思っていた
 ところなの。ゆっくりしていらしてね」
   壁にはたくさんの絵。
   絵の殆どはシスターアンリエットの若    
   い頃とおぼしき肖像画。
   絵に見入り、シスターとシスターによ
   く似た少女、2人の少女を取り囲む天
   使たちの絵の前で足を止める杏とルイ。
   絵の中の2人の手には美しいハンカチ
   が描かれている。
杏「ルイ、ここはシスターのご実家ってこと
 なのかしら!」
ルイ「きっとそうよ。そうに違いないわ」
   老女、お茶のセットの載った盆を持っ   
   て入ってきて、テーブルに置く。
老女「やっぱりあなた方は教え子なのね。現
 在の娘を知っている方々とお会いできたの
 は嬉しいわ」
杏「この絵のもう1人の方は、シスターの妹 
 様でしょうか?」
ルイ「ハンカチは妹様が織られたもので、天
 使の羽でできているというのは、本当です
 か?」
老女「難しい質問ね。下の娘も今は遠いとこ
 ろにおりますの。それ以上は申し上げられ
 ないけれど、私は絵があの子を守ってくれ
 ますように、という祈りをこめて描いてい
 るのです」

○広大な屋敷・海の見えるバルコニー
   お茶を飲みながらしみじみと語り合う、
   老女、杏、ルイ。

○華蘭学園前のバス停(夜)
   ベンチに腰かけているルイと杏。
   ルイはやや放心状態。杏は顔を上げて、
   星空を見上げている。
ルイ「素敵なお母様だったけれど、ハンカチ
 のナゾはわからずじまいだったわね」
杏「私はそうは思ってないわ、ルイ。星を愛
 で、草花を大切に育て、シスターの絵を描
 いていらっしゃるお母様こそ、シスターの
 守護の天使だと思ったわ」
ルイ「これからどうする?」
杏「厳しい処分が待っているかもね。でもい
 いの。退屈な学校だけど、シスターアンリ
 エットがいらっしゃる、お母様も見守って
 くださってるとわかったから、私少しばか
 り元気が出たわ」
by yuuko_watanabe3 | 2008-08-13 14:21 | 映画/シナリオ

わたなべゆうこです。blog名を「女は51から」より変更しました。


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